勃起不全(ED)の気になる定義はあるのか?

 認知度が上がってきているEDですが、その症状は勃起が不十分であること、そのために性交の際に中折れしてしまうなど、性行為での問題を抱えるといったものがあります。ただし、ここで気をつけたいのは、そのような症状が何度か出ただけで、すぐに勃起不全になったと判断するのは早いということです。個々の健康状態にもよりますが、このような症状は、例えば体調不良や精神状態などによって誰でも起こりうるものです。このような症状が何度も起こり、性交に大きな支障をきたすようになると、勃起不全と診断されます。

 

 では、EDの明確な定義は何でしょうか。まずはアメリカにある国立衛生研究所というところの定義があります。それは「勃起が起こらなかったり、勃起を維持することができないために、性交が満足に行うことができない状態」となっています。この定義はかなり幅が広くなっています。全く勃起しないところから、持続力が無い状態まで指しますし、性交が満足に出来ない状態がどれくらいの頻度で起こるかについては言及されていません。

 

 より細かい定義については、日本性機能学会のものがあります。先ほどの定義に加えて、「性交してもその75%で失敗してしまう」となっています。こちらは具体的な数字まで書いてあって、非常にわかりやすいです。単純計算で、10回の性交のうち、8回失敗すると確実にEDでしょう。7回の場合はかなり怪しいといったところです。ただ、定義に当てはまっていなくても、性交や勃起に問題を抱えていればそれが精神的要因で勃起不全につながる可能性もありますので、医師に相談して解消することが可能です。

 

勃起不全(ED)の原因とは?

勃起不全(ED)の原因とは?

 勃起不全(ED)には、大きく分けると以下の3つの原因があります。器質性、心因性、薬剤性のEDです。それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

 中高年のEDに多く見られる原因が器質性のものです。器質性が原因とは、血管や神経などの器官が原因ということです。たとえば、加齢などで血管の機能が低下し、動脈硬化などの症状を現すことが挙げられるでしょう。動脈硬化とは、その名の通り血管の弾力性が低下している状態ですから、勃起しても血管が広がらず、ペニスに十分な血液が流れ込みません。ほかにも、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が器質性EDの原因となることが多いです。

 

 若い世代のEDでよくあるのが心因性のEDです。心因性とは精神的ストレスと言ってもよいでしょう。器質的には問題ないのに性行為となると正常に勃起しなくなる男性は、何らかの精神的ストレスがかかっています。たとえば、過去にセックスに失敗して女性を落胆させた経験があるとか、奥さんや親から早く子どもが欲しいとプレッシャーをかけられているなどです。過度なストレスがかかると性的興奮がうまく神経に伝わらなくなるため、性的に興奮する場面でも勃起しないことがあります。また、うつ病で性欲自体ないという場合も心因性EDです。

 

 もう一つは、服用する薬の影響で勃起に支障が出る薬剤性EDです。簡単に言えば薬の副作用で一時的に勃起しなくなっているだけなので、その薬の服用を止めれば治ることがあります。ただ、持病の治療薬が原因の場合は自分の判断で服用を止めることはできませんから、必ず主治医に相談してください。

 

勃起不全(ED)の自己診断方法は?

勃起不全(ED)の自己診断方法は?

 自分が「EDかな?」と思うということは、何らかの症状をすでに自覚しているのではないでしょうか。EDの治療は病院に行くのがベストですが、病院を受診する前に、あなたが本当にEDなのかがわかる自己診断方法を試してみましょう。

 

 EDの自己診断には、「IIEF5(The International Index of Erectile Function)」という問診票を使うのが一般的です。日本語にするなら、「勃起機能の国際的指標」とでも言いましょうか。ともかく、5点満点の設問が5つ用意されており、それに答える形で25点満点であなたの勃起力を診断します。

 

 その5つの設問とは、「勃起を維持する自信はあるか」、「どのぐらいの頻度で勃起した時に挿入可能な固さになるか」と、「どのぐらいの頻度で挿入後も勃起を維持できたか」に加えて、「セックスが終わるまで勃起を維持することに困難を感じるか」と、最後に「どのぐらいの頻度でセックスに満足できるか」です。

 

 これらの設問に、たとえばいつも勃起に自信があるなら5点、「全然自信がない」、「いつも勃起を維持できない」、「セックスに満足できない」なら1点などと点を付けていきます。中間を3点として、その前後を2点と4点というふうに気軽にチェックしてみてください。合計得点が22点以上なら問題なし、21点以下なら軽度のEDなどと診断します。

 

 もちろんこれはあくまで目安ですので、得点が低いからといって落ち込むのは早いです。気になる時はまず医療機関を受診してみましょう。

 

勃起不全(ED)を予防する方法はある?

勃起不全(ED)を予防する方法はある? 心因性のEDは別として、加齢とともに増加する器質性のEDなら日々の心がけで予防できます。いざという時は精力剤やED治療薬に頼るのも手ですが、まずはEDにならないように予防意識を持ってください。

 

 EDの予防法としては、勃起する感覚を忘れてしまわないようセックスの頻度を高めることが第一に挙げられます。いざという時にペニスが言うことを聞かないのがEDですから、やはりパートナーとの性生活を充実させることが何よりの予防になるでしょう。

 

 次に考えるべきことは日常生活の改善です。ちゃんと勃起しないのはペニスに十分な血液が流れ込まない状態ですので、血行不良にならないように日ごろから食事や運動に気を付けましょう。栄養バランスの乱れや運動不足により誰でも血行は悪化し、血液がドロドロになりやすいですが、年を取るほどその傾向が強くなるので注意してください。

 

 食事に関して言うと、具体的には野菜、魚、豆類やキノコ類などをしっかり摂ることです。精の出る食べ物というと肉をイメージする人が多いですが、肉を食べる時は必ず野菜もセットで食べるように気を付けてください。脂肪の吸収を抑えるとともに血液をサラサラにするからです。

 

 運動も血行促進に効果的です。ただ、そこまでハードな運動をする必要はありません。少しでよいので毎日体を動かすことを心がけましょう。

 

 それよりも、もし喫煙や飲酒の習慣があるのなら、それらを一刻も早く止めるべきです。特にタバコは血流を悪くするだけでなく百害あって一利なしですので、ED予防にかかわらず止めた方がよいでしょう。